なになぜ経営教室 第1講

第1講 「企業は生きもの、生きるとは」


企業の形態には、個人企業や法人企業といったものがあります。株式会社は法人企業の代表的な存在です。特に会社法の改正により有限会社がなくなったため、ほとんどの企業は株式会社となりました。今回のテーマ「企業は生きもの、生きるとは」という意味の主題は、法律によって企業を擬制するということではなく、企業が生き続けていくためには、動物や植物と同じように環境に適応することが必要であることを意味しています。

動植物は、環境に適応することで変化を続け、永い年月を生きのびてきました。自然環境は私たちの思惑や意図などに関係なく変化を続けます。そのような環境の変化に文句を言っても始まりません。如何にして環境に適応することができるかをひたすら考え、変革を遂げる以外に生き残る道はなかったのです。

企業も同様で、経営を取り巻く環境は常に変化を繰り返しています。顧客のニーズの変化、サプライヤーの変化、技術革新、雇用・労働環境の変化、金融環境の変化、競合企業の変化などなど、多種多様な状況の変化が毎日起こっているのです。このような変化に対して適応することが生き残ることにつながるのです。既に「環境変化に適応することが生き残るために必要である」などという表現は耳にタコができるほど聞かされています。だから誰でもこのことは知識としては理解しているのです。ところが、実際の経営の機能についてはあまり理解が進んでいるようには見えないのです。環境適応の環境には大きく分けて二つの環境があります。一つは企業の外の環境であり、もう一つは内の環境です。この「外の環境」への適応は、経営戦略の問題として、「内の環境」への適応は、組織力として考えることになります。すなわち、企業にとっての両輪とは「経営戦略」と「組織力」なのです。経営戦略は、どこで、どのように、いかに生きるかについての考えの体系です。だから、経営者の哲学や理念、経営目標、外部経営環境との整合性が重要であると同時に成文化されていなければならないものです。すなわち、経営計画として経営陣や経営幹部、更には従業員に周知徹底されるべきものでなければなりません。一方、組織力は経営計画を実践遂行する能力の問題であり、従業員の全ての能力を目標遂行に傾注させることのできる力です。
このように考えると、企業にとって環境適応の実践の実態を現すものは、経営計画、経営組織、ビジネスシステムの有無であると言えるのです。環境変化に適応するといっても、経営計画が立案されず、経営組織やビジネスシステムは一定で変化しないような企業では変化に適応できないのです。

経営学では上記のことを「組織均衡」といいます。組織均衡論では、組織構成員の貢献に対してそれと同等以上の誘因がなければ組織は維持できないと考えます。言い換えれば、従業員の貢献は、経営計画に基づく経営目標の達成であり、その達成のために必要な従業員の努力に対して、それ相応の誘因がなければ従業員のモチベーションは下がり、経営目標への達成努力は阻害されるということを言っています。そして誘因とは、経済的なものと非経済的なものがあり、現在では、経済的な誘因が基礎を形成します。経済的な誘因は人事制度、給与制度、昇進昇格制度、賞与制度、退職金制度、報奨金制度などの諸制度により行われます。また、非経済的な誘因は、企業文化や仕事の範囲、権限委譲などによって関係付けられます。このような内的均衡に対して、それを維持・発展させるための対の概念が外的均衡としての経営戦略論なのです。

結論としては、環境に適応するという考えは経営学の理論の中に既に存在し、その詳細を知識として理解し、更に実践することで知恵に高めるためには、少なくとも、経営理念・経営目的の明確化と成文化、経営目標の明示、外部経営環境の分析と把握による経営戦略の立案と経営計画の策定が絶対的な条件となり、それに基づいて、内部の均衡を図る、人事諸制度の構築が施策の体系として整合性を持っていることが必要条件となるのです。これが企業の代表取締役の主要な任務であり責務であり、企業を生かすための脳と心臓の役割なのです。
posted by Intelprise Consulting | なになぜ経営教室